
地域観光リピーターの特徴とは何か?地域観光リピーター増加に向けた、満足度を超えた循環設計の重要性
地域観光リピーターは「狙って増やす」ことができます。
数値で見ると、観光客数を維持しながら地域経済を伸ばしているエリアほど、リピート率の改善を明確に指標化し、戦略として組み込んでいます。
リピーターは“満足度の結果”ではなく、“循環設計の結果”です。
【この記事のポイント】
- リピーターは「たまたま」ではなく、設計した循環の“副産物”です。
- 観光リピーター循環設計に特化した視点が必須です。
- データ・現場の声・運営体制を一体で回すと、地域経済の波及までつながります。
この記事の結論
- 一言で言うと「リピーターは循環設計の結果」です。
- 最も重要なのは「訪問前・滞在中・訪問後」を一つの体験線として設計することです。
- 失敗しないためには、「満足度アンケート」だけでなく、データと現場の声から“次の一歩”を仕組み化することです。
地域観光リピーターは「循環」の結果でしか増えない
リピーターの特徴は「習慣」と「安心できる選択肢」
リピーターの特徴を研究したデータを見ると、「旅行そのものが習慣になっている人」ほど同じ地域に何度も通う傾向が強いとされています。
その際、目新しさだけでなく「宿泊・アクセス・過ごし方の安心感」がセットで揃っている地域ほど、再訪の確率が高いことも指摘されています。
正直なところ、リピーターは“感動したからまた来る”というより、「迷わず決められる“いつもの選択肢”ができた」結果として現れることが多いです。
私どもが関わらせていただいた中部地方の温泉地でも、最初の訪問理由は「ちょうど行ける距離」「予算が合う」というかなり現実的なものでした。
ところが、2回目以降のリピート理由をヒアリングすると、「移動時間が読める」「だいたいの過ごし方がイメージできる」という“精神的なコストの低さ”が圧倒的に多かったのです。
よくあるのが、「観光資源の強さ=リピート率」と考えてしまうパターンですが、実際は“選択のラクさ”がかなり効きます。
現場で見た「リピーターが生まれる瞬間」
ある地域で、地元のカフェオーナーさまからこんなお話をうかがいました。
「2回目に来てくれたお客さんは、注文を迷わず“前と同じ”と言うんですよね」と。
会話の流れで聞いていくと、多くのお客さまが「どこに行くか迷ったけれど、前にここでゆっくりできたから」と、旅行計画の“最後の一押し”として、そのカフェの体験を思い出していたのです。
これはリピーターが「点」ではなく、旅全体の「文脈」で動いている典型例です。
私どものスタッフ自身も、北陸のあるエリアに3年連続で通っているのですが、正直、毎回すべてのスポットが新鮮なわけではありません。
それでも検索窓に同じ地名を打ち込んでしまうのは、「いつもの宿の女将さんの顔」と「朝、同じベンチでコーヒーを飲む時間」がセットで浮かぶからです。
ケースによりますが、リピーターは“観光商品”ではなく、“場所+人+時間帯”の組み合わせに愛着を持ちます。
データで見る「リピーターが地域にもたらす循環」
リピーターを増やすことは、単なる来訪者数の安定化ではなく、地域経済の循環そのものを太くします。
たとえば、津山市の分析では、観光客数に対してリピート率を1ポイント上げるだけで、約1万7千人分の来訪増加効果が試算されています。
この追加来訪は、宿泊・飲食・交通・体験などに波及し、環境省の地域経済循環分析ツールでも、地域内の経済波及に直結する要素として扱われています。
よくあるのが、「まずは新規を増やして、それからリピーター施策」という順番で考えてしまうことです。
しかし、データの視点では、新規×リピート率の掛け算で観光客数が決まり、その結果として「雇用」「税収」「投資余力」などの数字も変わってきます。
リピーターは“結果指標”であると同時に、“地域内経済循環のレバー”でもあるわけです。
なぜ「満足度」だけではリピーターは増えないのか
よくある「満足度アンケート頼み」の落とし穴
多くの観光地で実施されている来訪者アンケートを見ると、「満足した」「まあ満足」と回答する方はかなりの割合に達しています。
国土交通省や観光庁の調査でも、訪日観光客の満足度は概ね高水準である一方、“再訪意向”と“実際の再訪”にはギャップがあることが指摘されています。
つまり、「満足=また来る」ではないのです。
私どもが現場で見たケースでも、アンケートの満足度スコアは平均4.5以上なのに、実際の再訪率は思ったほど伸びていない地域がありました。
ヒアリングを重ねると、「次は別の県にも行ってみたい」「日本の他のエリアも気になる」と、“横比較”の欲求に負けていることが分かりました。
正直なところ、“満足したからこそ他も見たくなる”という、人間らしい心理も無視できません。
リピート行動の本質は「比較疲れからの解放」
観光リピート行動を分析した研究では、リピーターは「目的地選択行動の特殊型」とされ、選択肢の比較プロセスが短くなっていくことが特徴だと整理されています。
旅行者は、最初の訪問時にはSNS・比較サイト・口コミを何度も往復し、夜中までスマホをスクロールしてしまいます。
けれど2回目以降は、「あそこにしておけば間違いない」という“省エネモード”で決めていきます。
私どものスタッフも、初めて行く地域のときは、航空券サイト・宿泊予約サイト・YouTube・インスタを行ったり来たりして、気付けば深夜1時を過ぎていたことがあります。
逆に、行き慣れた地域を選ぶときは、検索窓に地名を一回打ち込んで、前回と同じ宿を数分で予約して終わりです。
ケースによりますが、リピーターを生む鍵は「比較しなくて済む安心感」をどう設計するか、という視点です。
現場の声「また来てほしいけど、毎回新しいことを求められるのは正直しんどい」
ある観光協会のご担当者さまがぽつりと漏らした一言が印象的でした。
「毎年“新しいイベントは?”と聞かれるけど、本音を言えば、地域の人も運営側も疲れてきているんです」と。
地域の関係者が疲弊すると、サービスの質も連動して落ちていき、結果的に満足度もリピート率も下がってしまいます。
一方で、別の温泉地では「毎年大きな新企画はしないけれど、常連さんが“自分の定番コース”を作れるように小さな変化を積み重ねている」とお話しいただきました。
実は、この地域は大規模イベントよりも、季節ごとのちょっとした「限定メニュー」「時間帯限定の体験プログラム」で、常連さんの来訪周期を維持しています。
よくあるのが“話題づくりのための新規企画”に追われるパターンですが、リピーター施策は本来、もっと静かで地味なものでも良いはずです。
地域観光リピーター循環を設計する3つのステップ
①「タビマエ」の不安を減らす情報設計
リピーター循環のスタートは、「最初の一回来訪」をいかにストレス少なく決断していただくかです。
近年の観光DXの文脈でも、タビマエのウェブ行動データを活用し、訪問者ごとに興味のある情報をパーソナライズ表示して再訪意欲を高めることの重要性が語られています。
これは、新規来訪でも同じで、「自分に合っているか分からない」という不安を先回りして潰す情報が必要です。
私どもが関わらせていただいた観光サイトでは、「モデルコース」「持ち物リスト」「旅の予算目安(1泊2日で一人いくら)」を、あえてトップページの目立つ場所にまとめました。
結果、「予約ボタンを押す前に、3サイト以上を渡り歩く回数が減った」という声が、宿泊事業者さまからも届くようになりました。
ケースによりますが、「何が分からないか分からない」という状態をほどくコンテンツが、最初の一歩には効きます。
② 滞在中に「自分の定番コース」を作っていただく
リピーター循環にとって、滞在中の体験は「感動」以上に、「自分なりの定番」が作れるかどうかが重要です。
リピーターの行動特性を分析した研究でも、宿泊施設を軸にしながら、自然景観や文化的催し物など、季節性の高い要素を組み合わせたプランが、継続的な来訪に有効であることが示されています。
つまり、「毎回まったく違う旅」より、「毎回少しだけ違うけれど、軸は同じ旅」がリピートを生みます。
実際、下呂温泉観光協会さまでは、観光客の動向をデータで把握しながら、宿を中心とした動線や過ごし方の変化を追い、PDCAを回し続けていらっしゃいます。
私どもが宿泊業の現場インタビューで印象に残っているのは、「常連さんはチェックインの時間も、夕食後に散歩するコースも、ほとんど変わらないんです」という言葉でした。
よくあるのが、「新スポットを増やせばリピート率が上がる」と考えることですが、リピーターが求めているのは“変わらない軸+少しの変化”です。
③ タビアトに「次の一歩」をセットで提示する
タビアト(訪問後)の設計が抜け落ちると、リピーター循環は止まります。
観光プロモーション策の研究でも、リピーターの育成には、宿泊を軸とした体験を組み合わせたうえで、その記憶を想起させる仕掛けが重要だとされています。
ここでのポイントは、「また来てください」ではなく、「次に来るなら、こんな過ごし方もあります」のご提案です。
私どものスタッフ自身、ある地域から帰った1か月後に、宿から届いた季節のお便りメールに心を動かされたことがあります。
写真は1枚だけ、メッセージもシンプルで、「次は〇月頃、こういう景色になりますよ」という一文でした。
翌年、ふとカレンダーを見ながら、「あの景色、そろそろかな」とまた同じ地名を検索していたそうです。
ケースによりますが、タビアトのコミュニケーションは“売り込み”ではなく、“思い出の再生”に寄せるほうが、リピート率には効きます。
現場事例:リピーター循環設計で何が変わったか
事例1:新規数は変えずに「年間来訪延べ数+18%」
ある地方都市で、観光協会さまと連携して「1年間のうちに同じ方が何回訪れるか」をKPIに据えたプロジェクトを行いました。
最初の年は、新規来訪者数が前年比+2%程度とほぼ横ばいだった一方で、延べ来訪者数(同一人物の再訪も含む)は+18%まで伸びました。
内訳を見ると、年間2回以上訪問されている方の割合が、全体の8%から14%に増えていたのです。
現場の宿泊事業者さまからは、「“今年もあの時期に行きますね”という予約のお電話が増えた」との声が出ていました。
正直なところ、広告予算はほとんど増やしていません。
それでも効果が出たのは、「タビマエ情報の整理」「滞在中の定番づくり」「タビアトの一言フォロー」という循環を、全体設計として揃えたからです。
よくあるのが、各事業者さまがバラバラに施策を打ち、全体としての“リピーター導線”が途切れるパターンですが、この事例ではそこを意識的につなぎました。
事例2:体験プログラムの“やりすぎ改善”でクレーム減少
別の地域では、「リピーターを増やすために、新しい体験プログラムをどんどん追加した」結果、現場が疲弊し、オペレーションミスやクレームが増えていました。
よくあるのが、「メニューが増えるほどお得」という発想ですが、現場のキャパシティを超えると逆効果です。
アンケートでは「内容には満足している」が多いのに、「次も参加したい」は伸びないという、典型的な“過剰サービス状態”でした。
そこで、既存プログラムを整理し、「常連向けの定番」「初めての方向けの安心コース」に二分しました。
実は、この切り分けをした後、体験プログラム数は30%削減したにもかかわらず、「また来たい」という声は明らかに増えました。
スタッフからも「余裕ができたおかげで、お客さまと雑談する時間が増えた」とのフィードバックがあり、その雑談の中身が次の来訪のお約束につながっていきました。
事例3:WEB改善だけで「検索からのリピーター予約比率」が変化
最後に、オンライン上の循環設計だけで変化が出た例です。
ある観光サイトでは、リピーター向けの情報がサイト内で分散しており、「2回目以降の方へ」「季節ごとに楽しみ方を変えたい方へ」という導線が存在しませんでした。
検索ログを分析すると、同じ方が数週間の間に何度も同じ地域名+「おすすめ」「コスパ」「子連れ」などのキーワードで検索している履歴が見つかりました。
そこで、「2回目以降の過ごし方」「1年の中でおすすめのタイミング」をまとめた特集ページを作り、公式サイト内の導線を集約しました。
結果として、予約フォームの入力データで「2回目以上」と回答された方の割合が、3か月で12%から19%に増加しました。
正直なところ、デザインは大きく変えていません。
ただ、「迷っている方が同じ検索を何度もしている」現象をそのまま放置せず、“2回目・3回目を決めるための情報”を一枚に整理しただけです。
よくある質問(7問)
Q1:リピーター比率は何%を目標にすべき?
A:観光地やターゲットによりますが、まずは「現状+5ポイント」を2〜3年で目指す設計が現実的です。
Q2:新規とリピーター、どちらを優先すべき?
A:短期は新規、3年スパンでは「新規×リピート率」の掛け算で見るべきです。
Q3:予算が少ない場合、最初にやるべきことは?
A:タビマエ情報の整理と、既存のお客さまへのタビアトコミュニケーション設計が費用対効果は高いです。
Q4:リピーター向け割引は必須ですか?
A:価格だけでなく、「自分の定番コースが作れるサポート」のほうが長期的には効きます。
Q5:インバウンドと国内、リピーターの考え方は変えるべき?
A:旅行頻度や移動コストが違うため、訪日回数別に施策を分けるのがおすすめです。
Q6:イベント頼みの集客から抜け出すには?
A:宿泊を軸に、季節の体験を組み合わせた“標準コース”を先に設計すると、年中の集客が安定します。
Q7:データ分析はどの程度までやる必要がある?
A:最初は「初回か2回目以降か」「来訪時期」「予約経路」の3軸だけでも十分です。
まとめ
- 観光リピーター循環設計に特化した視点で、「タビマエ・滞在中・タビアト」を一つの線として組み立てる。
- リピーターは“満足度の延長”ではなく、“比較しなくて済む安心と、定番コースの設計”の結果として生まれる。
- 広告を増やす前に、「現場の余白」と「既存のお客さまの次の一歩」を整えることで、地域全体の経済循環まで変えられます。
もし、貴地域で「リピーター比率」「2回目以降の予約経路」「来訪周期」のどれかがまだ見えていないようでしたら、まずはこの3つだけを数値で“見える化”するところから、私ども株式会社365と一緒に設計していきませんか。
⚠️ 地域活性化という名の「底の抜けたバケツ」を止めるために。
どれだけ人を呼んでも、どれだけ資金を投入しても、地域が豊かにならない理由を知っていますか? それは、地域経済というバケツの「構造」が設計されていないからです。
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「外貨獲得」だけで終わっていないか?
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「域内循環」が分断されていないか?
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「再投資」の出口は設計されているか?
成功の鍵は施策の数ではなく、三層構造の接続にあります。地域再生の「全体像」をここで整理しましょう。
構造から深掘りする5つの視点
地域活性化を「単発施策」から「持続する構造」へ転換するための5つの判断軸です。
1. 地域経済循環モデル
【バケツの穴を塞ぐ】 外貨を稼いでもお金が地域外へ逃げてしまう「漏れ」の構造を分析し、域内での乗数効果を最大化する設計図を提示します。
[👉 経済の漏れを止め、循環を作る構造]
2. 中小企業の役割再定義
【循環のハブを担う】 企業を単なる一事業主ではなく、域内調達や雇用を通じて「お金を地域に留める」戦略的拠点として再定義します。
[👉 地域経営の担い手としての企業構造]
3. 地域ブランディング戦略
【価値を外貨に変える】 知名度向上(発信)を目的にせず、地域の固有価値を「収益(外貨)を生む装置」へと変換する価値循環の仕組みを解説します。
[👉 価値を外貨に変えるブランド構造]
4. 地域の人材定着・循環
【再投資の土壌を作る】 若者の流出を「魅力不足」ではなく「キャリア循環構造の欠如」と捉え、挑戦と還元が繰り返される人材育成の設計を考えます。
[👉 人が育ち、集まり続ける循環構造]
5. 地域デジタル活用設計
【構造を加速させる触媒】 デジタル導入を目的化せず、三層構造(外貨・循環・再投資)の解像度を上げ、マッチングや効率化を加速させるインフラとして配置します。
[👉 構造を支え、加速させるデジタル]
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