DXが外注頼みで進まない経営者が、内製化の進め方を知り、体制を判断したい方へ
DXの内製化は、いきなり全部を自社化することではなく、小さな成功を一つ作ることから始まります。
外注に任せてもDXが進まない。そう感じる地域企業は多い。理由は明確です。要件も判断も外部に預けたままでは、自社に知見が残らず、次も外注に頼るしかなくなるからです。
内製化の起点は、全面移行ではありません。まず1つの業務を、自社で回せる状態にする。この最初の90日の一手を持てた企業だけが、外注依存から抜け出しています。
なぜ「内製化のやり方」を探しているのに一歩を踏み出せないのか
内製化を進めたい。
そう思って調べ始めたとき、多くの経営者がぶつかる壁があります。
検索すれば「DX人材を採用しよう」「ローコードツールを導入しよう」という言葉ばかり出てくる。
どれも正しそうに見える。
でも、自社に当てはめると急に足が止まる。
「うちにITに詳しい人間なんていない」
「採用したくても、そんな人材は地方には来ない」
「かといって、いつまでも外注では費用がかさむ」
夜、見積書を眺めては閉じる。
保守費用の請求を見るたび、このまま払い続けるのかという不安がよぎる。それでも、何から自社化すればいいのかが見えてこない。
この記事は、内製化という言葉の「本当の進め方」を整理し、地域企業が最初に手を付けるべき順番を判断できるようにするための記事です。答えを一つに断定するのではなく、あなたの会社に当てはめて考えられる判断軸を渡します。
【この記事のポイント】
- 内製化は「全部を自社化」ではなく「一部を握り直す」こと——丸投げをやめ、要件と判断だけでも自社に取り戻すのが出発点
- 最初に内製化すべきは、頻度が高く変更が多い業務——毎回外注していた小さな更新作業ほど、自社化の効果が早く出る
- 内製化は「人材採用」ではなく「小さな成功の積み上げ」で進む——一つ回せた実感があって初めて、社内に広げる推進力が生まれる
この記事の結論
- 一言で言うと、内製化は「人を採る」ことより「小さく一つ握り直す」ことで始まる
- 最も重要なのは、変更頻度が高く外注コストがかさむ業務を最初の一つに選ぶこと
- 失敗しないためには、全社DXを一気に自社化せず、成功事例を一つ作ってから横展開する順番を守ること
内製化が進まない地域企業に共通する「3つの思い込み」
思い込み①:内製化には専門人材の採用が先だと考える
正直なところ、内製化の話で最初につまずくのが「人がいない」という壁です。
多くの経営者が、まずDX人材を採用しなければ始まらないと考えます。
でも、これは順番が逆なことが多い。
ある地方の製造業では、専任のIT担当をゼロから採る前に、既存の若手社員一人に業務ツールの更新を任せてみました。
最初は外注に頼っていた受注管理の帳票修正です。
やってみると、その社員は数週間で自分で直せるようになった。
採用ではなく、いまいる人に「小さな一つ」を任せる。
内製化は、そこから始められることが少なくありません。
もちろん、いずれ専門人材が必要になる場面は来ます。
でも、その採用も「社内で何を握りたいか」が見えてから動く方が、外れが少ない。
先に人を採ってから仕事を探すのではなく、仕事を一つ握ってから人を考える。この順番の違いが、地方企業では特に大きく効いてきます。
思い込み②:内製化とは「全業務を自社化」することだ
次に多いのが、内製化を「すべて自社でやること」と捉えてしまう思い込みです。
実は、成果を出している企業ほど、外注と内製を切り分けています。
高度な基幹システムの構築は外部の専門家に任せる。
一方で、毎日発生する小さな更新や、現場が触るデータの修正は自社で握る。
全部を抱えようとすると、かえって現場が疲弊し、DXそのものが止まります。
ケースによりますが、外注のままでいい領域を見極めることも、内製化の一部です。
思い込み③:ツールを入れれば内製化できる
そして最後が、ツール導入への過信です。
ローコードやクラウドサービスを入れれば自動的に内製化が進む、というのは誤解です。
道具は、使う人と業務が定まって初めて機能します。
「便利そうだから」と契約したツールが、誰にも使われず眠っている。
よくあるのが、こうした「導入だけDX」のパターン。
ツールは手段であって、内製化の本質は「自社で判断できる状態」を作ることです。
言い換えれば、外注先やベンダーに「なぜこの作業に費用がかかるのか」を聞き返せる状態になること。
そこまで来て初めて、道具は生きてきます。
内製化が進む企業は「小さな成功」から横に広げている
進め方の起点は「選ぶ→任せる→残す」の順番
内製化が進む企業には共通点があります。
取り組みを「選ぶ・任せる・残す」の3段階で整理していることです。
- 選ぶ:変更頻度が高く、外注コストがかさむ業務を一つだけ選ぶ
- 任せる:いまいる社員に、小さな範囲で試させる
- 残す:やり方を手順として社内に残し、次の業務へ横展開する
多くの企業は「選ぶ」を飛ばして、いきなり全社DXに手を広げます。
対象を絞らないまま始めると、成果が見えず、現場は疲れ、やがて止まる。
ビフォーアフター:更新作業を1つ自社化した企業の変化
ある地域の卸売業では、商品情報の更新をすべて外注していました。
価格が変わるたびに依頼書を書き、数日待って、費用を払う。
年間にすると、決して小さくない額でした。
そこで、その更新作業だけを一つ、社内の事務担当に任せてみた。
すべてを自社化したわけではありません。
システムの根幹は外部に任せたまま。
ただ、日々発生する更新の部分だけを握り直した。
すると、その担当者が「これなら自分でできる」と言い始めた。
数か月後。
「別の帳票も自分たちで直せませんか」
現場からそんな声が上がったとき、内製化が一周し始めた手応えがありました。
派手な成果ではない。
ただ、外注に出していた一つが、自社の手に戻った。それだけ。
けれど、その「それだけ」が社内の空気を変えます。
自分たちでも変えられる、という感覚。
この小さな成功体験こそが、次の内製化を後押しする一番の燃料になります。
よくある失敗:一気に全社DXを内製化しようとする
逆に、つまずく企業には共通のミスがあります。
最初から基幹システムの刷新を自社でやろうとするパターンです。
確かに、志は高い。
でも、経験のない社内チームが大きな案件を丸ごと抱えれば、途中で行き詰まる。
一度大きく失敗すると、「やっぱり内製化は無理だ」という空気が社内に残ります。
そうなると、次の一歩がさらに遠くなる。
小さな成功を一つ作る前に、大きな挑戦に飛びつく。これが最も多い失敗です。
判断軸:最初に内製化する業務をどう選ぶか
何から始めるか迷う経営者には、次の5つの基準で最初の一つを選ぶよう勧めています。
- 変更の頻度:毎月・毎週と繰り返し発生する業務か
- 外注コスト:その都度、費用が積み上がっているか
- 難易度:いまいる社員が数週間で覚えられる範囲か
- 影響範囲:失敗しても事業が止まらない領域か
- 効果の見えやすさ:自社化した効果を数字で示せるか
この5つに多く当てはまる業務ほど、最初の一つに向いています。
他社の事例を見るときも、この基準で「自社ならどこか」を当てはめると判断が早くなります。
進め方:最初の90日でやること
いきなり全部は変えられません。最初の90日は、次の3つに絞るよう勧めています。
- 最初の30日:外注している業務を一覧化し、変更頻度とコストで並べ替える
- 次の30日:その中から一つを選び、社員一人に小さく任せてみる
- 最後の30日:やり方を手順書に残し、次に広げる業務を決める
中小企業庁の資料でも、DXは一足飛びではなく段階的に進めることが推奨されています。
実は、多くの地域企業がここで焦ります。
競合が先にDXを進めているように見えて、一気に追いつこうとする。
でも、大きく飛ぼうとするほど、着地に失敗しやすい。
90日で「自社の最初の一つ」と「回せた実感」が持てれば、その後の判断は驚くほど早くなります。
よくある質問
Q1. 内製化は何から始めればいいですか?
A1. 変更頻度が高く、外注コストがかさむ業務を一つ選ぶことから始めます。基幹システムのような大きな領域ではなく、日々の更新作業など小さく試せるものが最初の一つに向いています。
Q2. IT人材がいないと内製化は無理ですか?
A2. いいえ。まず採用ではなく、いまいる社員に小さな範囲を任せる方が現実的です。専門人材の採用は、社内に成功事例が一つできてからでも遅くありません。
Q3. 内製化と外注はどう使い分けますか?
A3. 変更が多く現場が頻繁に触る業務は内製、高度で頻度の低い構築は外注が基本です。すべてを自社化する必要はなく、握る範囲を選ぶことも内製化の一部です。
Q4. 小さな会社でも内製化できますか?
A4. できます。むしろ規模が小さいほど、一つの業務を自社化したときの費用削減や意思決定の速さが実感しやすくなります。対象を絞りやすいのも利点です。
Q5. ツールを導入すれば内製化は進みますか?
A5. ツールだけでは進みません。使う人と対象業務が定まって初めて機能します。導入前に「どの業務を、誰が握るか」を決めることが先決です。
Q6. 成果が出るまでどのくらいかかりますか?
A6. ケースによりますが、小さな更新作業の自社化なら数か月で外注費の削減として表れることがあります。全社的な体制づくりは数年単位で見る必要があります。
Q7. 内製化を進めると外注先との関係はどうなりますか?
A7. 対立ではなく役割分担に変わります。日々の更新は自社、高度な構築は外注と整理することで、外注費を抑えつつ専門領域は任せる、という健全な関係が築けます。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 内製化は「全部を自社化」ではなく「一つを握り直す」こと——丸投げをやめ、要件と判断を自社に取り戻すのが出発点
- 最初に選ぶべきは、頻度が高く外注コストがかさむ業務——小さく試せて、効果が数字に出やすい領域から始める
- 「選ぶ→任せる→残す」の順番を守る——一つの成功を作り、手順を残してから横展開して初めて社内に定着する
内製化とは、DXを自社の手に取り戻す「最初の一歩」です。
まずは外注している業務を一覧にして、変更頻度とコストで並べてみてください。
一つ、握り直せそうな業務が見えれば、次の一手は自然と決まります。
全部を変える前に、一つを回す。
小さな成功が一つあれば、社内の空気も、次の判断も変わっていきます。
そこから始めれば、外注頼みの体制は少しずつ、しかし確かに変わり始めます。
⚠️ 地域活性化という名の「底の抜けたバケツ」を止めるために。
どれだけ人を呼んでも、どれだけ資金を投入しても、地域が豊かにならない理由を知っていますか? それは、地域経済というバケツの「構造」が設計されていないからです。
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「外貨獲得」だけで終わっていないか?
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「域内循環」が分断されていないか?
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「再投資」の出口は設計されているか?
成功の鍵は施策の数ではなく、三層構造の接続にあります。地域再生の「全体像」をここで整理しましょう。
構造から深掘りする5つの視点
地域活性化を「単発施策」から「持続する構造」へ転換するための5つの判断軸です。
1. 地域経済循環モデル
【バケツの穴を塞ぐ】 外貨を稼いでもお金が地域外へ逃げてしまう「漏れ」の構造を分析し、域内での乗数効果を最大化する設計図を提示します。
[👉 経済の漏れを止め、循環を作る構造]
2. 中小企業の役割再定義
【循環のハブを担う】 企業を単なる一事業主ではなく、域内調達や雇用を通じて「お金を地域に留める」戦略的拠点として再定義します。
[👉 地域経営の担い手としての企業構造]
3. 地域ブランディング戦略
【価値を外貨に変える】 知名度向上(発信)を目的にせず、地域の固有価値を「収益(外貨)を生む装置」へと変換する価値循環の仕組みを解説します。
[👉 価値を外貨に変えるブランド構造]
4. 地域の人材定着・循環
【再投資の土壌を作る】 若者の流出を「魅力不足」ではなく「キャリア循環構造の欠如」と捉え、挑戦と還元が繰り返される人材育成の設計を考えます。
[👉 人が育ち、集まり続ける循環構造]
5. 地域デジタル活用設計
【構造を加速させる触媒】 デジタル導入を目的化せず、三層構造(外貨・循環・再投資)の解像度を上げ、マッチングや効率化を加速させるインフラとして配置します。
[👉 構造を支え、加速させるデジタル]
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