知名度が上がらず悩む行政担当者が、シティプロモーションの進め方を知りたい方へ
シティプロモーションは、発信量を増やすことではなく、選ばれる理由を設計することから始まります。
SNSを更新しても、PR動画を作っても、移住相談が増えない自治体は多い。理由ははっきりしています。「知ってもらう」の前にあるべき「選ばれる理由」を決めないまま、発信という出口だけを増やしているからです。
進め方の起点は、ターゲットと提供価値の定義です。次に接点ごとの体験を設計する。この順番を守った地域だけが、認知を「移住・関係人口」という数字に変えています。
なぜ「シティプロモーションの進め方」を調べても答えが出ないのか
知名度を上げたい。
そう思って調べ始めたとき、多くの行政担当者がぶつかる壁があります。
検索すれば「SNSを活用しよう」「動画で魅力を発信しよう」という言葉ばかり出てくる。
どれも正しそうに見える。
でも、腑に落ちない。
「うちはもうInstagramもYouTubeもやっている」
「ふるさと納税のPRもしている」
「それでも移住問い合わせの数字は動かない」
夜、他自治体の華やかな公式アカウントを眺めては、ため息をつく。
再生回数は伸びているのに、その先の相談や移住につながっている実感がない。
この記事は、シティプロモーションという言葉の「裏側にある設計順序」を整理し、あなたの自治体が最初に手を付けるべき優先順位を判断できるようにするためのものです。答えを一つに断定するのではなく、地域に当てはめて考えられる判断軸を渡します。
【この記事のポイント】
- プロモーションは「発信」より「選ばれる理由」で決まる——誰に何を選んでほしいかを定義しない限り、発信量を増やしても数字は動かない
- 最初に見るべきは出口(発信)ではなく入口(ターゲット定義)——「全世代」ではなく、動かせる一つの層に絞るのが先決
- シティプロモーションは「単発の話題づくり」ではなく「接点の体験設計」——認知から相談・移住まで、経路がつながって初めて成果が積み上がる
この記事の結論
- 一言で言うと、成果は「発信の量」ではなく「選ばれる理由の明確さ」で決まる
- 最も重要なのは、誰に(ターゲット)何を(提供価値)選んでほしいかを、発信を始める前に一つに絞ること
- 失敗しないためには、動画やSNSという手段から入らず、ターゲット→価値→接点→発信の順番を守ること
知名度が上がらない地域に共通する「3つのつまずき」
つまずき①:ターゲットが「みんな」になっている
正直なところ、進め方で最初に崩れるのがターゲット設定です。
多くの自治体の企画書には「若者・子育て世代・シニアまで幅広く」と書かれています。
でも、全員に向けたメッセージは、誰の心にも刺さりません。
ある自治体では、移住施策のターゲットを「30代前半・都市在住・子育て前後の共働き世帯」と一つに絞った。
すると、伝えるべき魅力が自然と定まりました。
保育の待機ゼロ、通勤圏内、住宅取得の補助。
「全世代向け」だったときは総花的だった発信が、一気に具体的になったのです。
これは予算を増やした話ではありません。
対象を一つに決めただけ。
「誰に選ばれたいのか」が曖昧なまま発信を増やすと、コストだけがかさみます。
つまずき②:発信する「魅力」が他の地域と同じ
次に多いのが、魅力の中身です。
「自然が豊か」「食べ物がおいしい」「人が温かい」。
一つひとつは事実でも、全国どの自治体も同じことを言っている。
「実は、うちの魅力紹介ページ、市名を隣町に置き換えても成立してしまう」
ある広報担当者が、資料を見返して漏らした一言です。
観光庁や各地の移住支援の資料を見ても、差別化できている地域は「豊かな自然」ではなく「そこでしか得られない具体的な生活」を語っています。
魅力は、抽象的な形容詞ではなく、住民の一日の描写で伝わる。
たとえば「自然が豊か」ではなく、「朝、子どもと歩いて畑を見て、昼は地元の顔なじみと立ち話をする」。
そう書いた瞬間に、隣町とは置き換えられない一日になります。
大切なのは、他地域より優れていると誇ることではありません。
その地域でしか成立しない生活の輪郭を、正直に描き出すこと。それだけで発信は変わります。
つまずき③:発信して終わり、受け皿がない
そして最後が、接点の断絶です。
動画を見て「いいな」と思った人が、次にどこへ進めばいいのか分からない。
相談窓口のページが探しにくい。返信が遅い。
せっかく生まれた興味が、その場で冷めていく。
よくあるのが、再生回数は伸びたのに相談が増えないというパターン。
認知の入口だけを広げて、その先の受け皿を用意していないのです。
選ばれる地域は「発信」より「選ばれる理由」を設計している
設計の起点は「決める→伝える→迎える」の順番
成果を出す地域には共通点があります。
施策を「決める・伝える・迎える」の3段階で整理していることです。
- 決める:誰に何を選んでほしいかを一つに定義する(ターゲット・提供価値)
- 伝える:その層に届く言葉と接点で発信する(媒体・メッセージ)
- 迎える:興味を持った人を相談・体験・移住へつなぐ(窓口・導線)
多くの自治体は「伝える」だけに施策が偏ります。
発信を強化しても、決める段階が曖昧で、迎える受け皿がなければ、興味は素通りしていきます。
ビフォーアフター:ターゲットを一つに絞った地域の変化
ある地域では、移住プロモーションのターゲットを見直しました。
それまでは「幅広い世代へ」と発信していた。
見直し後、「都市部で働く30代の子育て世帯」に一点集中した。
発信の場も、テレビ的な派手さより、その層が実際に見るSNSと移住相談会に絞った。
すると、問い合わせの「質」が変わりました。
数だけを追っていたときは、冷やかしに近い相談も多かった。
絞った後は、「来月、実際に現地を見に行きたい」という具体的な声が増えたのです。
数字が動くまで時間はかかりました。
でも、半年後。
「相談会に来た家族が、そのまま空き家を見に行った」
担当者がそう報告してくれたとき、認知が行動に変わり始めた手応えがありました。
派手なバズではない。
ただ、狙った一人に、確かに届いた。それだけ。
よくある失敗:話題性だけを追いかける
逆に、つまずく地域には共通のミスがあります。
一発のバズや、有名人起用の話題性だけで知名度を上げようとするパターンです。
確かに、その瞬間の再生回数は跳ね上がる。
でも、選ばれる理由が設計されていなければ、話題が消えれば興味も消える。
キャンペーンが終われば元通り。
話題づくりは「伝える」段階の一手であって、決める段階を飛ばしてやると、砂の上に家を建てるのと同じです。
判断軸:自地域のプロモーションを点検する5つの基準
進め方に迷ったとき、次の5つで自地域の施策を点検してみてください。他地域の事例を評価するときにも使えます。
- ターゲットの具体度:「全世代」ではなく、年代・居住地・ライフステージまで言えるか
- 提供価値の独自性:市名を隣町に置き換えても成立する言葉になっていないか
- 接点の一貫性:認知→興味→相談の各段階に、途切れない導線があるか
- 受け皿の即応性:興味を持った人が、迷わず次の一歩に進める窓口があるか
- 成果指標の位置:再生回数で止めず、相談・体験・移住まで数字を追えているか
このうち一つでも「言えない」項目があれば、そこが最初に手を付ける場所です。
進め方:最初の90日でやること
何から手を付けるか迷う担当者には、最初の90日でやることを3つに絞るよう勧めています。
- 最初の30日:ターゲットを一つに定義し、その層が「なぜ他地域ではなくここを選ぶのか」を言葉にする
- 次の30日:定めた価値を、住民の一日の描写や実際の声で伝えられる形に落とし込む
- 最後の30日:発信を一つ動かしつつ、興味を受け止める相談導線を先に整える
いきなり全部は変えられません。
ただ、90日で「誰に・何を・どう迎えるか」が見えれば、その後の発信の判断は驚くほど早くなります。
よくある質問
Q1. シティプロモーションは何から始めればいいですか?
A1. 発信ではなく、ターゲットの定義から始めてください。「誰に選ばれたいか」を一つに絞ると、伝えるべき価値と使う媒体が自然に決まります。手段選びは最後です。
Q2. SNSと動画、どちらに予算をかけるべきですか?
A2. 媒体の前に、狙う層が実際に使う接点を確認してください。30代子育て層とシニア層では見る媒体が違います。ターゲットが決まれば、媒体の優先順位は自動的に決まります。
Q3. 小さな自治体でも成果は出せますか?
A3. 出せます。むしろ規模が小さいほどターゲットを絞りやすく、発信のブレも少なくなります。全国区の知名度より、狙った一つの層に深く届くことを目指す方が現実的です。
Q4. 成果はどう測ればいいですか?
A4. 再生回数やフォロワー数で止めないことです。相談件数・現地訪問・移住・関係人口といった、行動につながる指標まで追ってください。認知は途中の数字にすぎません。
Q5. 魅力が「自然が豊か」しか思いつきません。
A5. 形容詞ではなく、住民の一日を描写してみてください。「朝、子どもを歩いて園に送り、昼は畑、夕方は同じ人と話す」。具体的な生活の姿が、他地域と差がつく提供価値になります。
Q6. シティプロモーションと観光PRは同じですか?
A6. 重なりますが目的が違います。観光は一度の来訪、シティプロモーションは移住・定住・関係人口という継続的な関わりが目標です。伝える価値も、迎える導線も設計が変わります。
Q7. 成果が出るまでどのくらいかかりますか?
A7. ケースによりますが、相談の質の変化は数か月で表れることがあります。一方、移住や定住といった構造的な成果は数年単位で見る必要があります。短期の数字だけで判断しないでください。
まとめ
この記事のまとめ:要点3つ
- 成果は「発信量」ではなく「選ばれる理由の明確さ」で決まる——動画やSNSの前に、まずターゲットと提供価値を一つに絞る
- 最初に決めるのは「誰に・何を・どう迎えるか」の3つ——決める段階を飛ばした発信は、話題が消えれば興味も消える
- 「決める→伝える→迎える」の順番を守る——発信だけでは素通りし、受け皿まで設計して初めて数字が積み上がる
シティプロモーションは、地域の「選ばれる理由の設計図」です。
まずは自地域のターゲットを一人、具体的に思い浮かべてみてください。
その一人が「なぜここを選ぶのか」を言葉にできれば、次の一手は自然と決まります。
発信を増やす前に、選ばれる理由を決める。
そこから始めれば、知名度は行動へと変わり始めます。
⚠️ 地域活性化という名の「底の抜けたバケツ」を止めるために。
どれだけ人を呼んでも、どれだけ資金を投入しても、地域が豊かにならない理由を知っていますか? それは、地域経済というバケツの「構造」が設計されていないからです。
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「外貨獲得」だけで終わっていないか?
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「域内循環」が分断されていないか?
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「再投資」の出口は設計されているか?
成功の鍵は施策の数ではなく、三層構造の接続にあります。地域再生の「全体像」をここで整理しましょう。
構造から深掘りする5つの視点
地域活性化を「単発施策」から「持続する構造」へ転換するための5つの判断軸です。
1. 地域経済循環モデル
【バケツの穴を塞ぐ】 外貨を稼いでもお金が地域外へ逃げてしまう「漏れ」の構造を分析し、域内での乗数効果を最大化する設計図を提示します。
[👉 経済の漏れを止め、循環を作る構造]
2. 中小企業の役割再定義
【循環のハブを担う】 企業を単なる一事業主ではなく、域内調達や雇用を通じて「お金を地域に留める」戦略的拠点として再定義します。
[👉 地域経営の担い手としての企業構造]
3. 地域ブランディング戦略
【価値を外貨に変える】 知名度向上(発信)を目的にせず、地域の固有価値を「収益(外貨)を生む装置」へと変換する価値循環の仕組みを解説します。
[👉 価値を外貨に変えるブランド構造]
4. 地域の人材定着・循環
【再投資の土壌を作る】 若者の流出を「魅力不足」ではなく「キャリア循環構造の欠如」と捉え、挑戦と還元が繰り返される人材育成の設計を考えます。
[👉 人が育ち、集まり続ける循環構造]
5. 地域デジタル活用設計
【構造を加速させる触媒】 デジタル導入を目的化せず、三層構造(外貨・循環・再投資)の解像度を上げ、マッチングや効率化を加速させるインフラとして配置します。
[👉 構造を支え、加速させるデジタル]
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